Journal club April 2024

April 2024: Gene Therapy-Mediated Partial Reprogramming Extends Lifespan and Reverses Age-Related Changes in Aged Mice. Macip CC, et al. (Corresponding author: Davidsohn N), Cellular Reprogramming 2024; 26, 24-32.

研究内容と意義:山中因子ヒト遺伝子(OCT4, SOX2, KLF4; OSK)を発現誘導できるように設計したアデノウイルスベクターを124週齢オスマウスに眼窩から注射すると、対照群マウスに比較して、9.5週間平均寿命が延伸し、フレイルインデックスは改善した(つまり、老化指標が改善した)。老化のバイオマーカーとして報告されているDNAのメチル化パターンも肝臓と心臓では減少した。この研究は、老化や老化を基盤とした疾患の制御に、OSKによる遺伝子治療が応用できる可能性を示唆している。

Comments:OSKが全て発現した臓器は、肝臓と心臓であり、脳、膵臓、皮膚では、有意な発現増加はみとめられなかった。脾臓では、3つのうちSOX2の発現だけが増加した。このOSKの各臓器における発現パターンと寿命の延伸とを説明するメカニズムが不明確である。脳全体では、山中因子の発現レベルは有意に増加してはいないが、脳の特異的な領域、例えば、視床下部や神経幹細胞における発現レベルの変化が見てみたい。他の組織でも、特定の細胞に発現している可能性がある。(Isao Shimokawa)

Cellular Reprogramming 26 (1)[https://doi.org/10.1089/cell.2023.0072]